2013年12月23日月曜日

やめないで!















あの浜茶屋は


確かに このあたりにあった






























岩山の石切り場の絶壁の真下に


張り付くように建っていた。


一番岬よりなもんだから


どの店より陽のあたる時間が少なくて


真夏でもどこか落ち着いていて


すこし風変わりな、


角田の長老のような茶屋だった









わたしは、いつも、ここでコーヒーを飲んで


異常にうまいラーメンを食べていた。


























陽が沈むころになると磯釣りから戻った常連さんが集い


男達のいこいの場となった










  















私がお邪魔する時間には


お客に混じって、すでに出来上がっているフランクな店主、正二さん


手先が器用で凝り性、料理上手でおもてなし好きな礼子さん


お客は、この二人に会いにいつもここへ来ていた

























岬に灯台が建つはるか以前の昭和3年、


海水浴場でもなんでもなかった角田浜に


唯一一軒、


今よりももっと越前よりに素茶屋が建った。


それが香風館だった。




















角田の前原を数回移動して


60年前にこの絶壁の下に腰を据えた。









それから今日まで

角田浜が海水浴場として

最盛期を迎えた昭和の時代を渡って

この浜の移り変わりを全部見続けてきた


























大勢の人の夏の思い出の1ページであった。

県内外から毎年、

お盆休みに泊まるのを楽しみに

常連客が多く訪れた民宿であった。











県外からお盆に帰省する度、もう10年以上この店に泊まりに来ていた家族







福島から父と子、男同士二人で夏の思い出














そんな店だった。


でも、


もう十分、


頑張ったんだと思う






どの店のときもそうであるが

茶屋が壊されたあとの更地を見てしまうと

そこにはもともと、はじめから何も存在しなかったように

思えてしまうから、嫌だ。








壊されてしまうと驚くほど狭い敷地に

この60年余りにもわたって

何百といっても足りない程の人が

ひと夏の思い出をつくっていった




ここは

そんな尊い場所だった。





















そう、ここには香風館があった

どれだけ月日がたっても

絶対に忘れはしない。








































1 件のコメント:

  1. 社会人二年目の夏休み、香風館に泊まりました。
    静かな浜辺でのんびりしよう、と新幹線に飛び乗ったのが30年前のちょうど8月3日。
    こんな旅行シーズンにホテル取れるの?という彼女を、泊まるとこぐらいどうにでもなるからと促しながら新潟駅に着いたら、長岡の花火大会と日程が被っていて市内のホテルはどこも満室。
    全然なんとかならないじゃない!と呆れ顔の彼女に睨まれながら、電話ボックスで汗だくになってハローページを捲りながらたどり着いたのが香風館です。
    二名様ですね、大丈夫ですよという女将さんの優しい声がどれだけ嬉しかったことか。
    たまたま宿泊客は我々だけだったので、2階の広間を二人じめして2泊しました。

    打ち寄せる波に弾ける子供たちの笑い声や、どこからか漂ってくる魚介の焼き物の香ばしい薫り
    優しい潮風に吹かれながら眺めた水平線に落ちる夕陽

    角田浜で過ごした静かな夏の休日は、今でも心のなかに残っています。

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